
【ティーペアリング】お茶とお菓子のペアリングについて
今回は、白鷺茶房が大切にしている「ペアリングの考え方」について、ご説明していきます。
1. 「味わいの主役は、舌ではなく"鼻"にある」
まず、私たちが味わい感じる仕組みについてお話します。
舌(味覚)が感知できるのは「甘味・酸味・塩味・苦味・旨味」の5種類しかありません。また、味覚はA+B=A+Bにしかならず、新しい味覚が生まれることはありません。
私たちが普段「味」と表現する、複雑な味わいの感覚は、実は「風味」と言います。
そしてその大部分を舌ではなく「嗅覚」が担っているのです。(ゴードン・M・シェファードの著書『美味しさの脳科学 においが味わいを決めている』)
それも、ただ匂いを嗅ぐときとは異なり、食べ物を口に入れたときに、喉の奥から鼻へと抜けていく「レトロネイザル」という仕組みです。
一般的な香りの嗅ぎ方は「オルソネイザル」と言う、鼻から直接嗅ぐ仕組みで、口の中に入れた後に香る「レトロネイザル」という感覚は一般的には知られていませんが、風味を感じ取っているのはほとんどがレトロネイザル経由なんです。
そして、嗅覚はA+B=Cになることもあり、複雑な風味を感じ取ることができます。
つまり、ペアリングにおいて香りを意識することがとても重要なんです。
2. 「なぜ、ペアリングを語るのは難しいのか?」
ペアリングを科学として捉えるのは非常に困難でした。フードサイエンティストの川崎寛也氏は、その難しさの理由を2つ指摘しています。
1つ目は、「人の主観(好みや感覚)が強く介在すること」。 2つ目は、「相性をいつ判断するかの時間軸が人によってバラバラであること」。
料理を飲み込んでから飲み物を口に含んで判断する人もいれば、飲み物を飲んでから料理を食べて判断する人もいます。
「いつ判断したか」によって口の中の環境が異なるため、これまでは一括りに議論することが難しかったのです。
3.「 白鷺茶房が実践するペアリング理論」
白鷺茶房では川崎氏のフレームワークをもとに、以下のステップに沿ってお茶とお菓子の組み合わせを考えています。
① 基本方針を決める
合わせることで生臭みやエグみが発生する「BAD FLAVOR」を避けた上で、以下の3つのアプローチから方針を選びます。
WASH:お茶の渋みや苦味で、口の中の油脂やベタつきを綺麗に洗い流す。
NEW:お茶とお菓子の味と香りを掛け合わせ、口の中でまったく新しい第3の味を生み出す(A+B=Cの魔法)。
SUPPLEMENT:足りない要素を補うこと。お菓子にない要素(ハーブの香りなど)をお茶の液体によって補うアプローチ。
② 強さをコントロールする(DOMINANT)
方針が決まったら、次はお茶とお菓子の「力関係」を調整します。 お茶が強すぎても、お菓子が強すぎてもいけません。お互いの「味の強さ」と「余韻の長さ」のバランスを均等に整え、どちらか一方が優勢(ドミナント)になって片方を消してしまわないようコントロールします。
③ ゴール(HARMONY & COMPLEXITY)
お茶を口に含み、飲み込んだ後。 お互いが喧嘩せず溶け合う心地よい一体感(ハーモニー)があり、かつ、単体で食べるよりもドラマチックな味の変化や深い余韻(複雑性)が口の中に残れば成功です。
4. 舌の上の「味覚」
最後に仕上げとなるのが「味覚」の調整です。
『フードペアリング大全』にもあるように、舌で感じる味覚同士は、お互いを引き立て合ったり弱め合ったりする「相互作用」を持っています。
代表的なのが、「甘み」と「塩味」の引き立て合いです。お菓子が持つわずかな塩気がお茶の甘みをグッとブーストしてくれたりします。
鼻へ抜ける香り(嗅覚)を組み立て、舌の上での引き立て合い(味覚)を調整したら完成!
こういったフォーマットがあるだけで、なんとなく感覚で決めていたペアリングに骨格ができます。
具体的なペアリングの事例もアップしていきますので、お家でペアリングを考える際の参考にしてください!
カフェやレストランの方に向けてオリジナルのペアリングもご提案致しますので、ご興味ある方はお問い合わせフォームよりご連絡お待ちしております!

